子供のADHDは年代別でどのような傾向が見られるの?
幼い頃はまだ物事の分別もつけにくく、言葉もはっきりしません。
その場合ADHDと判断することは難しく、むしろADHDの特徴は乳幼児のほとんどが当てはまる内容です。
ADHDの判断は、一般的に男児は8歳ごろ、女児は12歳ごろだとされています。
大体が小学校入学前後に教職員より指摘を受けるようです。
小学校高学年になるとその差は分かりやすくなり、集団行動にも問題が発生しやすくなってくるようです。
家庭内では、兄よりも弟の方が分別があり自分の身の回りの世話も一人でできるといったことが起こり始めるようです。
同じように子育てをしたにも関わらず、兄は毎日寝坊そして一人で準備がなかなかできない、一方弟は先に玄関で待っているなど。
判断が難しいとはいえ年代別の傾向があるようですので、詳しく見ていきましょう。
ADHDの乳児の特徴
- なかなか寝付かない
- 睡眠時間が短い
- 落ち着きがない
- 抱っこされる事を嫌がる
などの特徴があるとされていますが、この頃の判断は難しいためまだ決めることはほぼ不可能に近いと言えます。
しかし、このような特徴は成長での過程でよくあることですので、頭の隅に置いておく程度で。
あまりナーバスになりすぎず、気になるのであれば小児科や子育て相談センターへの相談を。
ADHDの幼児の特徴
1歳から小学校入園前の時期を指します。
この時期は成長に幅があり、個人差も大きく出るため乳児同様判断はまだ難しいとされています。
しかし、ADHDと診断される子供の多くは小学校入学前に指摘を受けることが多いようです。
ADHDの幼児の特徴としては、
- 言葉の発達が遅い
- 癇癪を出すことが多い
- 友達と上手く遊ぶことができない
- 喧嘩やトラブルが頻繁に起こる
などの事例が挙げられます。
男児であれば、一般的なADHDの診断は8歳ごろからとのことなので年長になってもこのような特徴がある場合は注意が必要かもしれません。
ADHDは脳の障害が原因であると考えられているため、叱っても改善がしにくく、躾の問題ではないようです。
この時期にADHDの子供の保護者が他の保護者から「躾がなっていない」と誤解を受けてしまうことも多々あります。
ADHDの小学生の特徴
小学生から周囲の子供との差が大きくなり始めます。
ADHDの不注意
- 朝一人で起きられない
- 準備がなかなかできない
- 遅刻しがち
- 常習的な忘れ物
- 関係ないものを学校に持ち込む
- 授業についていけない
- 会話を聞き返すことが多い
- ぼーっとしていることが多々ある
などの症状が。
ADHDの多動性
- 脚のゆすりが止まらない
- 指のタップを常にしている
- 席を立ち歩き回る
- 授業中でもしゃべり続ける
- 周囲にちょっかいを掛ける
など。
ADHDの衝動性
- 友達との喧嘩が絶えない
- 授業中に関係の無いことを突然始める
- 感情的になり手を挙げてしまう
- すぐに怒鳴る
- 順番が守れない
など。
ADHDの他の特徴
- 手先が不器用
- 真似をすることが苦手
- 空気を読むことが苦手
などの特徴もあるようです。
これらの特徴や周囲との差は高学年になれば歴然となり、本人も集団での過ごしずらさを感じ始めるようです。
ADHDの中学生の特徴
中学生からは思春期も加わり、自立心も芽生え始めます。
小学校までは保護者が一緒に学校の準備をしていたりとカバーできていたものの、徐々に拒否し始めるのがこの時期です。
親に反抗的な態度をとるのは、思春期の子供であればADHDなど発達障害関係なく訪れるものです。
しかし保護者の手伝いを拒むようになると、今までカバーできていた忘れ物や時間通りの登校など日常に支障をきたし始めます。
親も、もう中学生なのだからと手伝うのを止めてしまいがち。
子供の「自分で出来る、頼りたくない」という気持ちと、親の「中学生なのだから、もっとしっかりしなさい」という願いが空回りし始めてしまうのです。
ADHDでは感情のコントロールが苦手と言う一面もあり、そのため他の子供より反抗期が激しいと感じる保護者も多いようです。
多動・衝動性優位のADHDの子供の場合、リーダー的存在になり始めるのも特徴です。
一見周りを引っ張っていく頼もしい存在のようにも思えますが、周囲へ気を配ったり感情を読み取ることが苦手なため、人との衝突も多くなりがちのようです。
一方で不注意型のADHDの子供の場合、物静かで目立たず、一見ADHDとは気づきずらいそうです。
マイペース、おっとりしているといった印象を周りに与えますが、忘れ物が多い、集団行動に付いていけずワンテンポ遅れる、人の話を何度も聞き返してしまう、自分の世界にのめり込みがちなどの特徴があります。
ADHDの高校生の特徴
勉強に付いていけず進路に悩み始める傾向が強いとされているのが、特にこの時期です。
ADHDは、不注意・多動性・衝動性いずれも集中力に欠ける傾向があります。
そのため、授業や勉強に集中でず成績に悩み始めるようです。
計画的に物事を進めることも苦手で優先順位を付けることも難しいADHDは、どんどん深くなっていく授業内容に取り残されがちに。
例えば、
- 試験間近にも関わらずゲームや漫画が止められない
- 何をどう勉強していいか分からない
どれも中途半端に手を付けてしまいます。
部屋の片付けも苦手なため、スッキリしない部屋や机のせいで集中力はさらに低下してしまいます。
集中できない、片付けや勉強ができない、自暴自棄になる、成績が下がる・・・。
このような負のスパイラルに陥りやすいとされ、自尊心の低下など二次的な問題も心配です。
ADHDの思春期の特徴
幼児、小学校低学年の頃は「まだ小さいから」ということであまり目立たなかったADHDの子供も、思春期を迎える頃には周りだけでなく本人も気づき始めるようです。
しかし、ハッキリとADHDと診断されていない場合、子供は「どうして自分だけできないんだろう」「自分はダメな人間だ」など心に影響が出始めます。
ADHDは先天的な脳の機能の偏りが主な原因と考えられているため、躾や指導、本人のやる気などでなかなか改善されるものではありません。
そして、本人も周囲も誤解をしがちです。
無理に励ましたり、叱責したりは逆効果かもしれません。
思春期は子供が親の干渉や世話を拒否する時期ではありますが、ADHDの場合手助けを絶ってしまうと悪循環を招く恐れがあります。
うつ病や引きこもりなどを避けるためにも、親は温かく理解することが求められます。
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